近年、企業が学生に対して就職活動を終わるように強要する『オワハラ(就活終われハラスメント)』という行為が問題となっています。
文部科学省の調査では、68.3%の大学・短期大学が学生からのオワハラに関する相談を受けていたとのことです。具体的には以下のような例があります。
- 内々定者向け合宿への参加が義務付けられた
- 他の企業の選考を辞退したら内々定を出すと言われた
- 内定を承諾したら必ず就職情報サイトから退会するよう言われた
- 泊まりを含む呼び出しが何度もあり、他社の選考を受けられなかった
企業からのオワハラによって心理的なプレッシャーを感じてしまい、納得しないままに入社してしまうケースもあります。
オワハラへの対処法は?
結論からいうと、オワハラへの対処法は『拒否』と『無視』です。
入りたいと思える企業から内定を獲得するまで就職活動を続けましょう。呼び出しがあっても理由を付けて断ればオッケーです。何度も何度も呼び出しがあるならスマホを機内モードにして無視すれば大丈夫です。
企業側がオワハラをする理由は「新卒学生の獲得に苦労しているから」です。オワハラに応じないからといって内定が出ない可能性はとても低いです。
オワハラしてる時点でブラック企業なのはほぼ間違いないわけで
基本的に内定辞退は学生の自由です。企業側が無理に学生を引き留められる理由はありません。
内定辞退を申し出た学生に対して嫌がらせをしたり、軟禁して何時間も詰めるような悪質な行為があれば刑事上の罪に問われる可能性もあります。理論上は、学生側が損害賠償請求をすることだって可能です。
人事担当者には採用ノルマがあるので、優秀な学生が応募してきたらできるだけ入社させる必要があります。業務内容の一つとして違法行為のリスクをおかしているわけです。そんな企業は明らかにブラック体質じゃないでしょう。
企業の人事担当者もサラリーマンなので、会社から採用人数についてのノルマ(目標)があります。「我が社の採用基準を満たしている優秀な学生を予定通り採用できました」と経営陣に報告しなければいけません。
優秀な学生に内定を出したあとは、内定辞退されないように「営業」する必要があります。優秀な学生はいくつもの企業から内定がでますから、数ある企業から自社を選んで貰えるようにあの手この手を使っているわけです。
オワハラを無視して内定が出なくなる可能性は低い
オワハラを無視することで内定を取れない可能性はあります。「他の就活生が先に何人も正式に内定となり、あなたが入社する席がなくなってしまう」というケースです。
しかし、なぜ企業側がオワハラをするのか考えれば、内定を取れない可能性が低いのは分かるでしょう。
オワハラをする理由は「新卒者の獲得に苦労しているから」です。学生側の売り手市場で入社してくれる人がいないからこそ、脅迫まがいのオワハラ行為で入社させようとしているわけです。
しかも、オワハラに従うリスクは高い
あなたが納得しないまま就職しても、あなたにとっても企業にとってもよい結果につながらない可能性が高いです。
オワハラに従うことで新卒入社した企業を1~2年で辞める可能性は十分にありますし、第二新卒として就職活動を再スタートするリスクは高すぎます
『オワハラにも従ってくれる従順な人間を探している』という可能生もありますが、そんなブラック企業なら内定辞退したほうがよいでしょうね。
学生側は内定辞退を自由に出せる権利がある
学生側は自由に内定辞退を出せます。いつでも内定辞退の申し入れを行えますし、その方法についても特に限定されていません。直接会って話すだけでなく、電話やメールで内定辞退を申し出るのは有効です。
一方、企業による内定取り消しが認められるのは、「学生が大学を卒業できなかった場合」や「業務に必要な資格を取得できなかった場合」や「重大な経歴詐称が判明した場合」などに限られています。
個別のオワハラ事例と正しい対処法
1.内定承諾書は提出してもオッケー
よくあるオワハラが「貴社に入社することを誓います」という内定承諾書を提出させ、心理的なプレッシャーをかける方法です。なかには「内定承諾書を出した以上、内定辞退したら裁判に訴える」と脅してくる企業もあるようです。
内定承諾書に法的な拘束力はありません。内定承諾書を出しても自由に内定辞退することができます。企業側が裁判で訴えることはできませんから、安心して内定承諾書を出しましょう。
2.内定辞退を伝えて会社に呼び出されたら?
企業に内定辞退を伝えると「電話ですることではありませんし、直接会ってお話ししましょう」と言われることがあります。
こんな時でもわざわざ交通費をかけてまで会社へ行く必要はありません。電話で内定辞退を伝えて終わればいいのです。
万が一会社へ行ってしまい、内定辞退することについて1時間ほど責されたところで従ってはいけません。
最悪なケースとして、選考中の企業へ選考辞退の電話をするように強要されることがあります。この時は、110番通報して「○○という企業で軟禁されています」と言ってください。
3.他社の選考を受けさせないケースはどう対処する?
内々定者向けに合宿を義務付けたり、他社の選考日に合わせて食事会の日程を組んでいる企業があります。
こんな場合、まずは日程変更を打診してみましょう。日程変更が受け入れられない場合は拒否することをお勧めします。
内定が出ない可能性はありますが、第一志望の企業の採用面接に行けなくなるリスクを冒してまで、オワハラに従うことはありません。
だって明らかにブラック体質じゃないですか。